頭の中では、考えていることの境界が曖昧なままでも、筋が通っているように感じることがあります。書いて読み返すと、自分が使った言葉や文どうしのつながりを確かめられます。説明できるところと、まだ説明できないところが見えてきます。
書くことの意味は、整った文章を残すことだけではありません。考えを一度言葉にしてみると、分かったつもりでいた部分に気づくことがあります。文が曖昧なままなら、そのまま答えとして扱わず、何を確かめるのかを問いに戻せます。
説明用の仮例です。「なぜアトミックノートは一枚に一つの命題だけを書くのか」と問い、まず「一つに分けると後で使いやすい」と書いてみます。読み返すと、「使いやすい」とは何を指すのかがまだ曖昧です。そこで「一枚のノートに複数の主張があると、別の文章を組み立てるときに必要な主張だけを選びにくい。一つずつノートを分ければ、使う主張を選んで並べられる」と書き直します。「使いやすい」の意味が具体になり、主張を一枚に重ねることと、必要な主張を選びにくいことの関係も見えてきます。
考えが複雑なときは、断片を別々に書いて並べると、頭の中だけでは保ちにくい順序やつながりを確かめやすくなります。並べ替えたり線で結んだりしても関係を説明できないなら、そこに次の問いが残っています。書くことだけで理解が完成するわけではなく、曖昧さや問いを見つけ、考え直す手がかりになります。
書く行為は、文章を上手に仕上げるためだけの技術ではありません。文字にした考えを読み返し、書き直したり並べ替えたりすることで、思考を進められます。
次に読む
関連書籍
アトミック・シンキングの考え方を一冊の本として読みたい場合は、同じテーマを扱うKindle本があります。

